7月1日。
なぜこんな事になってしまったのか。俺には分からない。
鼻の皮膚が痛みまくっているのだ。
これ以上鼻をいじくりまわすと、大変なことになるらしい。
そこで俺は決心した。明日から一ヶ月間、ハナクソをほじくるのをやめよう。
一ヶ月もすれば必ず鼻の皮膚は回復するから。
そうすればまた自由自在にハナクソをほじくることができる。
なぁに、一ヶ月なんてあっという間さ。
・・・現在時刻はＰＭ11時。さて、明日からしばらくハナクソがほじくれないわけだから、
今日はじっくりとハナクソほじくりを味わおう。
隅から隅まで綺麗にほじくりまくる。もちろん痛いが、悔いは残したくない。
7月2日
朝に目が覚める。過酷な一ヶ月のスタートだ。
普段なら、指がまっさきに鼻の穴へと突っ込んでいくが、そうはいかない。
我慢しなければ。指先がブルブルと震えている。
ハナクソ自体は大してたまっているわけではないが、
なんというか、やはり精神的にきつい。
7月5日
ちょっと鼻息が苦しくなってきた。ハナクソがある程度溜まっている証拠だ。
取りたい。ハナクソを今すぐ取りたい！
まだ一週間も経っていないというのに、この辛さは何だ。
たかがハナクソほじくりができないくらいで。
7月10日
たくさんハナクソが詰まっている。ほじくりたくてしょうがない気分だ。
しかしよくここまで俺は耐えられたもんだ。いつのまにか一週間経ってるし。
ハナクソをほじくれはしないものの、まあ代用として耳の穴ほじくりや、
台所の排水溝をほじくることだってできる。
よーし、なんとかなりそうだ！
7月13日
まだまだ我慢できる。でも辛い。
タバコをやめた人もこんな気持ちだったんだろうか？
あぁ、ハナクソをほじりたい。
7月15日
15日目の正午。まだ半分しか経ってないのか。
我慢の出来なかった俺は、台所の排水溝だけにはとどまらず、
人の鼻の穴に指を突っ込もうかと考え始める。
おっといけない。
人に迷惑をかけようとするなんて・・・そんなことは絶対にしてはならない。
7月18日
気が付くと俺は電車に乗っていた。
寝てる奴がいる。ビンゴ。俺の指が反応した。やっぱりやるのかよ～って感じだな。
・・・・そもそもハナクソほじくりは禁止じゃなかったのか？いや、
それは自分の鼻に対してだろう、きっと。
人の鼻の穴だったらいくらだってほじくってもいいのだ。
俺は指を寝ている奴の鼻の穴にそっと近づける。
「ガタン！」
電車が大きく揺れ、そのせいで指が勢いよくそいつの鼻の穴に突っ込まれていった。
「しまった・・・」
そいつの鼻から、鼻血が大量にでてくる。やばい。逃げよう。
俺は別の車両に逃げた。相手は追いかけてこない。
・・・やっぱりやめよう。人の鼻の穴に指を突っ込むなんて。
7月21日
あと10日だ。
鼻の穴はもう詰まりすぎていて、息は口でしか出来ない。
仕方ない。俺は鼻毛が剛毛なため、きっとハナクソが詰まりやすいんだろうな。
7月24日
外で子供がハナクソをほじくっていた。うらやましい。
あと一週間待てば、俺もあーやって自由自在にほじくれる。
7月27日
けっこう汚いな。
俺は今、いろんな奴の家の鍵穴をほじくっている。
指が入らないので、爪楊枝などを使っているが、それでも
なぜかほじくった気分になれる。
最後までこれでもちそうだ。
7月30日
明日で最後か・・・。
今日も鍵穴をほじくっている。針金で。
ガチャガチャという音を立てるので、なかなかやりがいがある。
無我夢中でやっていると、時計の針は夜の12時を回った。
今日もたくさんほじくれた。明日はもっと大きな建物の鍵穴をほじくりたい。
7月31日
やった。今日で終わりだ。
明日から鼻の穴を好きなだけほじくれる。
さぁ、まずは自動販売機の鍵穴をドリルでほじくろう。
ギュルギュルと音をたて、鍵穴をくりぬかれた自販機のドアが開く。
「おっタダでジュースが飲めるじゃん」
ジュースをいただく。うまかった。こんなにたくさん飲みきれないよ。
次は銀行へ向かう。
大きな建物といえばやっぱり銀行しかない。
銀行には巨大な金庫があると聞く。それをドリルでほじくるのだ。
受付が邪魔なのでちょっとどかしてやろう。
「いらっしゃいませ」
「金庫はどこだ！！！」
俺はほじくたい想いを込めて脅した。
「キャー！！銀行強盗よ！ドリルを持ってるわ！！」
「え？銀行強盗？どこにいるんだ？」
サツがすぐにやってきた。銀行強盗がやってきたらしい。
「おい！お前おとなしくしろ！」
あれ？様子がおかしい。サツが俺を見ている。
まさか銀行強盗っていうのは俺のことなのだろうか？
手に持っているドリル見る。そうだこいつのせいだ。
俺はバカだ。よく考えてみる。
銀行の金庫をドリルでほじくる・・・これは犯罪じゃないか。
ちゃんと受付も脅してるし。
そして捕まった。
ちなみに、7月31日の日記は牢屋で書いた。
ハナクソほじくりは我慢できるようになった。
サツにつかまった事が一番の薬になったらしい。
さて、楽しい牢屋生活を過ごすとするか・・・。
